開発者インタビュー開発秘話を公開!

検証3:男性ホルモンは、NT-4の生成シグナルを直接的に制御しているかどうか。

#なぜ検証3をする必要があるのか?

検証1と検証2において、男性ホルモンにより毛乳頭細胞からのNT-4の分泌量が増え、毛母細胞に対して過剰なアポトーシスが誘導された結果、男性型脱毛症が引き起こされるという、一連の仮説は検証されたことになります。しかし、私たちは、このNT-4が男性型脱毛症の根本的な原因であるかを突き止めるために、NT-4の生成について、男性ホルモンが直接的に制御しているのかどうかを検証しました。実はこれが、科学的に大きな意味を持つ発見につながるのです。
NT-4の生成について、男性ホルモンが直接的に制御しているのかどうかを検証することが、なぜ意味をもつのでしょうか。例えば、Aという物質を添加することにより、Bというものが生成した場合、もしかしたらA⇒Bというように直接生成させている場合もあれば、A⇒C⇒D⇒Bというように、何段階か踏まえることで、間接的にBが生成されている場合もあります。後者の場合、結果としてBが生成されただけであって、Aが直接的な原因であるとは必ずしも言えません。今回の場合、男性ホルモンを添加することでNT-4が増加することは【検証2】で証明されましたが、NT-4増加の直接的な原因が男性ホルモンにあるのかどうかは、まだ証明されていないことになります。それが証明されなければ、当初から考えていた、男性型脱毛症の根本的な原因を突き止めたことにはならないと考えました。だからこそ私たちは、男性ホルモンが直接NT-4の生成に関わっているかどうかを検証することにしたのです。


AがBの直接的原因であることが分かる。


Aが結果的にBを誘発しているのだが、AがBの直接的原因とは断定できない。

#どんな風に検証したのか?

全ての遺伝子には、その遺伝子を生成せよというシグナルを伝える伝達領域がくっついています。そこでNT-4のシグナル伝達領域が、男性ホルモンのシグナルを直接受けているのかを検証しようとしました。
まず遺伝子工学的に、NT-4とそのシグナル伝達領域を切断して、NT-4の代わりに、シグナルを受けると発光するタンパク質を作り出す遺伝子に置き換えてやりました。こうすることでNT-4のシグナル伝達領域が、男性ホルモンのシグナルを伝達すると、この発光タンパク質が光って知らせてくれるというわけです。さて、この発光タンパク質を使った評価システムに対して、男性ホルモンを添加してみたところ、無添加の時に比べて、約4倍光った。つまり男性ホルモンによって、NT-4生成シグナル量が約4倍増えることが分かり、NT-4が男性ホルモンに直接制御されていることが検証されたのです。
この一連の検証により、男性ホルモンの作用により毛乳頭細胞においてNT-4の生成が促進され、それにより毛母細胞において過剰なアポトーシスを誘導されることで、脱毛を加速させているといった男性型脱毛症の根本的な原因の一つを突き止めることができたわけです。