育毛の技術と研究の歴史

世界初!男性型脱毛症の遺伝子発現に成功

ライオンでは1980年代より男性型脱毛症についての研究を進め、その発症原因の解明と改善成分の探索を行ってきました。1980年代には発毛に必要なエネルギーの生産が男性ホルモンによって阻害されていることを確認し、そのエネルギー代謝改善に効果のある『ペンタデカン酸グリセリド』を発見しました。その後、毛周期を制御しているといわれる毛乳頭の網羅的遺伝子発現解析(DNAアレイ解析)にいち早く着手し、2003年に世界で初めて男性型脱毛症の遺伝子発現の解析に成功しました。

発毛促進シグナル「BMP」と「エフリン」の発見

ライオン生物科学研究所では、発現量の変化していた遺伝子の中で細胞を増やす能力があるBMP※1とエフリン※2というふたつのタンパク質に着目し、それらが脱毛部で減少していることを見出しました。その2つのタンパク質を調べたところ、エフリンには毛根の数を増やす作用があることや女性ホルモンが減少するとBMPの生成が抑制されることなどがわかりました。その結果、この2つのタンパク質は、髪の毛の成長を促進する“発毛促進シグナル”であることがわかりました。

※1 BMP:Bone Morphogenic Protein(骨形成因子)。
一般には骨形成に関与するタンパク質として知られている。
※2 エフリン:Ephrin。
一般には血管形成などの働きを担っているタンパク質として知られている。


【当社における発毛促進シグナル研究の経緯】
2003年
発毛促進シグナル(BMP、エフリン)発見
網羅的な遺伝子解析技術(DNAアレイ)により、ヒト男性型脱毛部位における遺伝子発現の解析に成功(2003.6.16)

2004年
発毛促進シグナル(エフリン)には “毛根の数を増やす”作用があった
男性型脱毛を制御する「発毛促進シグナル」のメカニズムを解明(2004.12.6)

2005年
“女性ホルモン”が減少すると発毛促進シグナル(BMP)の生成が抑制される
“女性ホルモン”の減少も「女性の薄毛」の引き金に!(2005.6.13)

脱毛促進シグナルNT-4とは?

BMPとエフリンというタンパク質を研究していた当時、NT-4というタンパク質にも着目していました。
BMPとエフリンは脱毛部位において減少していましたが、NT-4は逆に増加していました。
NT-4は、毛包の細胞に対して、アポトーシスを起こすことが知られています。アポトーシスは生体の機能維持のために起こる細胞の自殺で、通常毛髪が生え変わる時にも起こっています。しかしそれが過剰に起こると毛髪にとって悪影響を及ぼし、脱毛が促進すると考えられます。


【アポトーシスとは】
「生理的条件下で細胞自らが積極的に引き起こす細胞の死」
例えば・・・
1. ヒトで、胎児の頃にある水かき様のものが、アポトーシスで無くなる事で、5本の指ができる。
2. 木の葉は付け根のところでアポトーシスが起こるため、自然と木の枝から落ちる。
3. おたまじゃくしがカエルになるときにアポトーシスが起こるため、しっぽが無くなる。

【NT-4とは?】
NT-4(Neurotrophin-4:神経栄養因子4)は、一般には神経成長に関与するタンパク質として知られています。
※脱毛シグナルとしては、NT-4の他にTGF-β(形質転換成長因子)が知られています。

男性ホルモンとNT-4生成シグナルの関係

我々は、脱毛シグナルNT-4が男性型脱毛症の原因の一つであることを確かめるために、男性ホルモンによりNT-4の生成が制御されているかを確かめることとしました。
その結果、男性ホルモンが、NT-4生成シグナル制御領域に結合し、そのタンパク質の生成を増加させることを世界で初めて解明しました。


【NT-4による男性型脱毛症の発症メカニズム】

今回の結果から、男性ホルモンが毛乳頭細胞に作用することによって、NT-4の生成が促進され、増加したNT-4が毛母細胞でアポトーシスを誘導し、発毛を妨げていることが男性型脱毛症の原因のひとつであることが示されました。